ビジョン策定/成長戦略
ビジョンは、当社の価値感の主張だと言っていいでしょう。社会がこうなると素晴らしいという主張です。ミッション、理念と分けることもありますが、特に分ける意味はないでしょう。
ビジョンを策定する際に「社会はこうだ!」と独善的に言ってしまうと、顧客も社内のメンバーも共感できません。顧客が心を震わせ、社内のメンバーに火をつけるビジョンを作らなくてはなりません。
また、今の社会が今の形になっているのには、それなりに理由があります。
何かしらの問題に対する現実解が現在実現している面があるので、一方的に何かを悪にするのは一般的に困難でしょう。
だから、今の社会に対するある程度正しい知識が必要、ということになるわけです。少なくとも、政治・経済・社会・科学技術に対する最低限のことは勉強しておかないといけません。
そして、その社会には矛盾は当然ながらあるわけです。その矛盾に対する当社なりの解決策としてビジョンが提示できる場合もあります。当然、提示する解決策にある程度の納得感は必要でしょう。
そして、ビジョンと事業とが強く結びついていることが重要になります。ビジョンがあまりに現在の事業とかけ離れていると、社員も顧客もビジョンを空疎なものに感じるでしょう。
ただ、この結びつきはどちらかというと社会の課題と解決策のほうを、ちゃんと落とし場所である事業を踏まえて設定するというところに強く依存しています。あまりに壮大な課題設定をすると、実際の事業への結びつきが弱くなってしまいます。
当社はこういったことを踏まえ、ビジョン策定を支援していきます。
そして、成長戦略はビジョンをエネルギーとして作られます。単一の事業はいつかは顧客が減少し、利益が枯渇していきます。複数事業で自社の持続可能性を担保しなくてはなりません。その時考慮すべき制約条件としては社内のケイパビリティ、外部環境などがあります。
多角化に際してマーケティング優位で進めるべきといった説もありますが、勧められません。どちらかと言えば、内部のケイパビリティ、プロセスの類似性のほうが新規事業の成功にはクリティカルです。ビジネスプロセスの類似性を無視してマーケティング優位で新規事業をやろうとした結果は石油会社のコンビニ経営など無残なものが多いでしょう。
また、外部環境を考慮するのならば、マーケティングを起点にするのではなく、外部環境がどのように変化するかのオプションを複数持っておき、そのオプションごとに意思決定パターンを決めておくことをお勧めします。未来は予見できませんが、いくつかのパターンを持っておけばどのように環境が変化したとしても予測からの「ずれ」で状況を捉えることが可能だからです。
また、既に複数事業がある場合は、それぞれの事業の役割を規定したポートフォリオを組み、方針やリソース配分を管理する必要があります。日本企業は現場が強いのでどうしても方針のない資源投入になりがちですが、ビジョン、成長戦略をベースとして各事業の役割を明確にすることで、資源の最適配分を実現することが可能になります。当然、伝統的なPPMの知見も踏まえたポートフォリオを構築していきます。
このように、当社はビジョンを踏まえた成長戦略を策定し、シナリオプランニングによってリスクをヘッジし、ポートフォリオによって資源配分を管理することを支援することを通じて経営陣をサポートしていきます。